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家づくりに役立つコラムを連載します

多くの方にとって、家づくりは一生のうちで一度きりで、最も高い買い物となると思います。
そんな大事な家づくりですが、計画を始めた時にはわからないことが多く、不安に思われる方もいらっしゃと思います。
そんな方のために、家づくりの専門家として、少しでもお役にたてる情報を発信していきたいと思います。

太陽光発電とZEHについて

 
 
今回は、省エネな暮らしに大きく関係してくる、「太陽光発電」と「ZEH」について解説したいと思います。
 

ZEHとは

 
太陽光発電については、みなさんもある程度知っていると思いますが、ZEHについてはなんとなくのイメージだけで、詳細はよく知らないという方も多いかもしれません。
ZEHというのは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」のことで、この数年よく話題になるようになりました。
 
まずは、「どのような家のことをZEHと呼ぶのか?」という素朴な疑問にお答えします。
 
このZEHを知るには、最初に「一次エネルギー消費量計算」というものを理解する必要があります。「計算」という言葉からは、なにやら難しい話のように聞こえますが、基本的な仕組みはそれほど難しい話ではありません。
いわゆる、一般的な生活をする上で、その家のエネルギーが消費される想定量を、いくつかの項目をベースに計算された数字のことです。
あくまでも、机上の計算値ではありますが、日本において統一されたスタンダードの計算式であり、この計算上の数値が優れている家ほど「省エネ」な家と言えると思います。
 
この計算式におけるベースとなるエネルギーの種類として、以下のように6種類のエネルギーを算出します。
 

① 暖房のためのエネルギー
② 冷房のためのエネルギー
③ 給湯のためのエネルギー
④ 換気のためのエネルギー
⑤ 照明のためのエネルギー
⑥ その他家電などのエネルギー

 
これらは、家の間取りや床面積、断熱性能、設置する設備機器などによって消費量が変わってきます。
「一次エネルギー消費量計算」では、これらをそれぞれ入力していくことで、自動で計算数値が出てくる仕組みになっています。
 
①②については、家の断熱性能が大きく影響します。当然ですが、断熱性能が高ければ冷暖房のエネルギーは少なくて良いし、逆に断熱性能が低ければたくさんエネルギーが必要となります。
加えて、設置する冷暖房機器の省エネ性の違いによっても変わってきます。
 
③④については、純粋に設備機器の性能によって消費するエネルギーは変わります。
 
⑤の照明についても同様ですが、LED照明にするとかなり省エネになります。
 
⑥については、詳細に計算できないので面積によって算出されます。
 
これらを計算式に入力してはじき出された数値が「一次エネルギー消費量計算」となるわけです。
 
家づくりを検討する際には、「太陽光発電」や「ZEH」を検討する前に、「ご自分の計画している家の『一次エネルギー消費量計算』の数字がどのくらいのレベルになっているか」を確認することが大事です。
これが基準値のエネルギー消費量と比較して、どれくらい削減された数字になっているか、であなたの家の省エネの度合いがわかります。
 

 
太陽光発電を搭載する前の状態で、20%以上削減されていたら、かなり省エネの家であるといっても良いでしょう。公的な認定を受ける場合は、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)に申請することで第三者の評価が得られます。その評価は、星の数で表示されるのですが、20%以上の削減なら最高の5つ星となります。
 

 

 
そして、その家に太陽光発電を搭載して発電によるエネルギーを足していくことで、消費エネルギーがゼロを下回れば、「ZEH」ということになります。
 

 

 
ZEH」となれば、前述のBELSからZEHマークを貰えることができます。公的な第三者のお墨付きなので、資産価値としても有利に働くことは言うまでもありません。
 

 
 

 

太陽光発電の活用

 
では、次に「太陽光発電」についてですが、なんとなく良いものだとは思っていても費用も決して安くないので、そのメリット・デメリット等について正しく理解する必要があります。
 
まず、思い浮かぶメリットは、電力会社に頼らずに、自分の家で発電ができるということになると思いますが、どうしても最初の設置費用が大きな問題となります。
しかし、それについては、FIT制度(固定価格買取制度)と呼ばれる、当初10年間の電力会社への売電で、長期的に設置費用が回収される仕組みになっていることを理解してほしいと思います。
買取価格は年々下がってきていますが、設置費用も下がってきているので、概ね10年以内では回収されると言われています。(地域や発電量によって変わります)
この制度を上手に活用して、長期的なリターンを考えればメリットは大きいと思います。
また、発電時に二酸化炭素を排出しない地球にやさしいエネルギーなので、環境に貢献していることも採用する理由のひとつという方も多いです。
 
デメリットは、地域にもよりますが、天候に左右されるということが挙げられます。
幸い、群馬県は年間の日照時間が全国でもトップクラスの長さなので、群馬県内で設置する場合は、それほど心配することはないかもしれません。
 
長期的に使用する設備ですので、保証面も心配されると思います。これについては、各メーカーによって異なりますが、保証期間が10年~15年というメーカーがほとんどです。
つまり、短くても当初の売電期間の10年間は保証の範囲内ということです。メーカーを選ぶ際にはこの保証面も確認したほうが良いでしょう。
 
当初10年間は売電ということで良いと思いますが、FIT終了後の11年目以降はどうなるのか、も検討しておく方が良いでしょう。
その時の情勢や暮らす方の考え方次第で、それぞれ使い方は変わってきます。
 
・売電価格は下がるがそのまま電力会社への売電を継続する
・蓄電池を購入して自分の家で電気を使う
・電気自動車などに充電して活用する  
 
などが現時点で想像されるケースです。
 
これから家を建てる方にとって、10年後は想像しにくいかもしれません。
しかし、可能性として考えると、今よりも電気自動車は増えているだろうということ、蓄電池の性能や価格もかなりよくなっているだろう、ということなどを考えると、色々と有効に活用できそうですね。
 
自動車産業では、世界的にガソリンエンジンから他のエネルギーを使ったエンジンへの転換が進んでいます。今の動向を踏まえると、電気自動車や水素エンジンの自動車などは10年後にかなり普及していることは想像できます。
これからのゼロ・カーボン時代に向けて、国の方針としても、住宅にも積極的に太陽光発電を普及させたいようです。
そんな未来に向けて、これから家を建てる方が自分の家で発電するという「太陽光発電」を検討するというのは、もうそんなに珍しいことでもないかもしれません。
 
関工務所の家は、基本的に建物自体の断熱性能が高い家です。
設備機器も省エネなものを推奨しているので、そのままの計画で「一次エネルギー消費量計算」をすると、「BELS5つ星」をクリアする家となることがほとんどです。
そこに、一定の太陽発電を搭載すると簡単に「ZEH」になるケースもとても多いです。
 
当社では、「太陽光発電やZEHありき」でご提案することはありません
あくまでも、「一年を通して快適で省エネな家づくり」をベースに、ご希望に応じて「太陽光発電」をご提案して、結果として「ZEH」になっている、という考え方です。
そんな家づくりの考え方に共感いただける方は、是非、お気軽にご相談ください。
 

(株)関工務所 専務取締役 関敏孝

 

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